塩(エン)、アクアリウムにおいては硝酸塩(ショウサンエン)や炭酸塩(タンサンエン)と言った形で話されるこの単語の意味を話そう
アクアリウムで使われる「塩(えん)」という言葉は、料理で使う食塩(しお)のことではなく、化学的な意味での「塩(塩類)」を指している。
化学における塩(えん)とは、酸と塩基が反応してできる化合物の総称である。
酸と塩基の中和反応によって生成され、水中ではイオンに分かれて存在する。
注釈:この塩は塩によって水にどのくらい溶けるか特徴がある(溶解度)
酸性塩、中性塩、塩基性塩
例として、
塩酸と水酸化ナトリウムが反応すると、塩化ナトリウムと水ができる。
この塩化ナトリウムが食塩だが、食塩は数ある塩の一つにすぎない。
塩は水中で、陽イオンと陰イオンに電離する。
アクアリウムで考えられる主なイオンは
陽イオンには水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオンがほとんどで他に鉄イオン、トレースエレメント系の金属イオンなどがあり、
陰イオンには塩化物イオン、硝酸イオン、炭酸イオンリン酸イオンが主で、他にもクエン酸イオン、酢酸イオン、硫酸イオンなどがある。
このイオンの組み合わせ全体を「塩(えん)」と呼ぶ。
アクアリウムで言われる硝酸塩とは、硝酸イオン(NO3-)を含む塩のことを指す。
硝酸ナトリウムや硝酸カリウムなどが代表例である。
水槽内では、魚の排泄物や餌の分解によってアンモニアが生じ、
それが亜硝酸を経て硝酸に変化する。
その結果、水中に硝酸イオンが蓄積した状態を「硝酸塩が高い」と表現する。
注釈:アクアリウムにおいては硝酸ではなく、アクアリウムで話される硝酸は硝酸イオンのことだと考えるのが適切。
炭酸塩とは、炭酸イオン(CO3マイナス2)または炭酸水素イオン(HCO3マイナス)を含む塩である。
炭酸カルシウムや炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムなどがこれにあたる。
これらは水中でpHを安定させる働きを持ち、アクアリウムではアルカリ度(KH)として管理される。
炭酸塩が少ない水ではpHが急激に変動しやすくなる。
注釈:この緩衝作用は炭酸水素イオンと炭酸イオンの効果である。
なお、「塩分」と「塩類」は別の概念である。
塩分は主に塩化ナトリウムの濃度を指すのに対し、
塩類とは水中に溶けているすべてのイオン成分を指す。
淡水水槽であっても、必ず何らかの塩類は溶け込んでいる。
アクアリウムにおける水質管理とは、
どのようなイオンが、どれだけの濃度で水中に存在しているかを制御することに他ならない。
魚や水草は特定のイオンバランスに適応して生きており、このバランスが崩れると生理的なストレスや障害が生じる。
つまり、アクアリウムで使われる「塩」という言葉は、水中のイオン環境を構成する化学物質全体を指す専門用語である。